_
『
朝鮮日報 記事入力 : 2011/08/11 14:43:18
http://www.chosunonline.com/news/20110811000052
中国空母試験航海:韓半島の軍事バランスへの影響は
中、国防費毎年10%以上アップ…危機の韓半島
米は10年間で4000億ドル削減…在韓米軍削減につながる可能性も
中、大連に基地、空母作戦半径1000キロ、韓国に深刻な脅威か
【政治部=李河遠(イ・ハウォン)次長/ワシントン=イム・ミンヒョク特派員】 米国の年間国防費は約7000億ドル(約54兆円)に達する。
中国より約10倍多い額だ。これだけ見ると、軍事分野で中国は米国のライバルとはいえない。
しかし、米国は財政赤字を減らすため、国の予算の20%を占める軍事費を大幅に削減することを決めた。
今後10年間で4000億ドル(約31兆円)を減らすというものだが、米メディアは「追加的措置も考えれば、今後10 年間の総国防費削減額は5500-9000億ドル(約42兆-69兆円)の間になるだろう」と予想している。
一方、世界最大の外貨保有国である中国は毎年10%以上、国防費を増やしているため、米国と中国の間の差は急速に狭まるものと思われる。
こうなると近い将来、米中軍事分野の覇権をめぐり争いが起きる可能性もある。
軍事分野での中国の浮上と米国の衰退は、韓半島(朝鮮半島)をめぐる北東アジア安全保障の構図に根本的な変化をもたらすことになる。
■西海は中国の「内海」になる?
昨年3月の韓国海軍哨戒艦「天安」沈没事件を受け、韓米が西海(黄海)で米空母の参加する訓練を実施しようとすると、中国は強く反発した。
西海に米空母を入れたくないという意向を露骨に見せたのだ。
その中国が西海に面している大連を空母基地に選んだ。作戦半径1000キロに及ぶ中国の空母が、韓半島周辺の海を行き来する可能性もあるということだ。
こうなれば、西海は中国海軍の庭になる。
中国は北朝鮮との間で「有事の際の自動介入」条項を含む「中朝友好条約」を維持しており、昨年の「天安」沈没事件でも北朝鮮を最後までかばった。
国防研究院のパク・チャングォン国防戦略研究室長は
「軍事力は政治・外交の基本であり、外交交渉や政治的圧力も軍事的な力を基本としている。
中国が直接的・間接的武力アピールをすることで政治的圧力を加え、紛争が増えるだろう」
と話す。
中国の制海権が広がれば、離於島(中国名・蘇岩礁)をはじめとする韓中大陸棚境界画定で中国に対し劣勢になるとの懸念もある。
■北東アジアで米中の力関係「逆転」の可能性も
米国は現在、「2万8000人規模の在韓米軍削減計画はない」と公言している。
しかし、
「米国は国防費削減計画に基づき、米による世界軍事戦略の大幅な修正と、戦闘力向上のため計画されていた武器購入計画の修正が避けられなくなった」
というのが米国の専門家らの見方だ。
米国防総省は、米陸軍と海兵隊で全体(77万2000人)の6%に当たる4万7000人を削減する必要があると見ている。
既に、米上院軍事委員会のカール・レビン上院軍事委員長=民主党=、ジョン・マケイン幹事=共和党=と、ジム・ウェッブ東アジア太平洋小委員会委員長=民主党=が国防費削減計画に基づき、在韓米軍基地移転計画を全面的に再考するよう求めている。
ソウルの外交消息筋は「米国は、適切な水準で韓国の防衛費の追加負担が貫徹されない場合は、在韓米軍の追加削減を考慮する可能性もある」と話している。
北東アジアで米中間の力関係が逆転することは、韓国の安保戦略を練り直さなければならないという状況を意味する。
韓国の安保勢力図を揺るがす「大型台風」が韓半島に徐々に近づいているということだ。
』
『
朝鮮日報 記事入力 : 2011/08/11 14:32:43
http://www.chosunonline.com/news/20110811000050
中国空母試験航海:「大洋海軍」へ一歩前進
【北京=崔有植(チェ・ユシク)特派員】 10日午前5時(現地時間)、中国遼寧省の大連造船所では、2002年3月から建造されてきた中国初の空母が徐々にその巨大な船体を動かし始めた。
数メートル先も見えない濃霧の中、タグボートに引かれて沖に出た空母は、海上でエンジンを作動させ、試験航海に入った。
中国が国民党政権時代から70年以上にわたり夢見てきた空母時代の幕開けだった。
新華社は同日、「大連造船所で改造作業を進めている中国の空母が計画通りに試験航海に出た」と報道した。
その上で、航海は長期にはわたらず、すぐに造船所に戻り、設備の取り付けや試験を続けられると伝えた。
一方、空母に乗船した新華社記者は感激に浸っている様子だった。
中国版ツイッターの「微博」に
「空母は3回汽笛を鳴らした後、順調に海へと出た。港を抜けると霧が晴れ、雲が消え、大連の輝かしい太陽が昇った」
と書いた。
これに先立ち、遼寧省海事局は9日午後、大連西側の黄海(韓国名・西海)に南北22カイリ(40.74キロ)、東西13.25カイリ(24.54 キロ)の航海禁止区域を設定した。
期間は10日午前0時から14日午後6時までの5日間とした。
北京の海軍専門家は
「航海禁止区域の範囲が狭いため、 4-5日にわたり、エンジン、発電機、排水ポンプなど運航に必要な基本的な機能をチェックするのではないか」
と分析した。
中国初の空母は、旧ソ連が建造途中で放棄したもので、1998年に2000万ドル(約15億円)で中国に譲渡された。
中国は02年に同空母を大連港に移し、これまで改造作業を進めてきた。
中国初の空母について、中国内外の軍事専門家は、当面は実戦戦力とはならないとみている。
中国も自ら「研究・訓練用だ」(耿雁生・中国国防省報道官)としている。
しかし、中国が空母保有国への道を歩み始めたという点で、今後は東アジアの軍事力バランスに大きな変化をもたらすとの観測が有力だ。
中国は今回の空母をはじめ、2020年までに空母3隻を保有することを目標に掲げている。
初の空母で得た技術で上海の江南造船所で独自に空母2隻を建造中との外電報道もある。
うち1隻は14年にも進水するとされる。
初の空母が従来型の動力を採用しているのに対し、2隻は原子力空母とされる。
中国軍のシンクタンク、軍事科学院の杜文竜研究員はこのほど、
「空母が戦闘力を持つためには、少なくとも3隻の空母を保有する必要がある。
3隻がそれぞれ作戦、演習、援護を担当しなければ、正常に戦闘力を発揮できない」
と指摘した。
中国が空母3隻を保有すれば、中国海軍の作戦範囲は近海だけでなく、西太平洋、インド洋まで拡大するとみられる。
西側の軍事専門家は、中国がさらに空母を追加保有し、「大洋海軍」へと躍進するとみている。
ロイター通信は最近、米軍の情報幹部の話として、中国が今世紀半ばまでに全世界を傘下に収める海軍力の確保を計画していると伝えた。
』
『
朝鮮日報 記事入力 : 2011/08/11 14:31:07
http://www.chosunonline.com/news/20110811000049
中国空母試験航海:北東アジア安保に新局面
【李河遠(イ・ハウォン)記者】 中国初の空母が10日、遼寧省の大連港付近で試験航海を開始した。
中国メディアは同日、「われわれの空母」が午前6時に大連港を出港し、試験航海に入ったと伝えた。
帰港後にも改造や試験が続く見通しだという。
一方、時事通信によると、米海軍の原子力潜水艦「オハイオ」は、中国海軍が海洋防衛ラインと設定しているマリアナ諸島でトマホーク巡航ミサイルの発射演習を行ったという。
オハイオは今月4日、グアム島から240キロ離れたマリアナ諸島の無人島を目標にトマホークを発射し、命中させた。
米海軍は今回の演習について、日本を拠点とする米第7艦隊の戦闘力向上が目的だと説明した。
アジア太平洋の制海権を中国には譲らないいう意思表示とみられる。
台湾も10日、中国の空母を狙った潜水艦搭載型の雄風3型巡航ミサイルを公開した。
台湾はこのミサイルを「空母キラー」と紹介した。
最近北東アジアの安全保障をめぐり、中国の台頭と米国の衰退を指摘する声がある。
米国はこのほど、財政赤字を削減するため、今後10年間で国防費を少なくとも4000億ドル(約31兆円)削減する方針を示した。
これに対し、中国は毎年10%ずつ国防費を増額してきた。
近い将来、米中はアジア太平洋地域の制海権を争うことになるとみられ、韓国の安全保障にも大きな影響を与えそうだ。
』
『
朝鮮日報 記事入力 : 2011/08/11 14:45:18
http://www.chosunonline.com/news/20110811000053
中国空母試験航海:日本とベトナムの反応は?
【東京=車学峰(チャ・ハクポン)特派員】 中国初の航空母艦(空母)が10日に試験航行を開始したことを受け、中国との領土問題を抱える日本とベトナムが緊張を高めている。
日本では、中国の軍事力拡大に対抗するには空母の保有と核武装が必要だとの主張も出ている。
日本政府は先ごろ発表した「2011年版防衛白書」で、空母の保有により中国海軍の作戦半径が東シナ海と南シナ海だけでなく西太平洋にまで拡大し、軍事バランスが大きく変化する懸念もあると、強い警戒感を示した。
日本政府は、中国の海軍力拡大をけん制する目的で策定した「新防衛大綱」に従い、5年間で潜水艦を16隻から22隻に増やし、新型戦闘機を追加配備する計画だ。
だが、財政赤字に東日本巨大地震までが重なり、国防費がむしろ縮小しており、対応は容易でない状況だ。
日本政府はひとまず、ベトナムやインドとの連携を強め、中国にプレッシャーをかける外交戦に総力を挙げているが、表立った成果は出ていない。
尖閣諸島の領有権をめぐり中国とあつれきを抱えながらも、中国の軍備拡充に事実上、打つ手がない状況を受け、日本では極右派を中心に空母の建造や核武装を訴える声も出ている。
一方、中国との関係が悪化してきているベトナムは、海軍力の強化を掲げるなど積極的な対応に乗り出している。
ベトナムは今年、ロシアから2100 トンクラスの最新型護衛艦2隻の引き渡しを受け、海軍艦隊に配備したことを公表するとともに、自国のニャチャン港をインド海軍に開放する方針を発表した。
インドと連携し、中国をけん制する戦略だ。
これに対し、中国はベトナムとの国境近くで4日から、戦車や装甲車、大砲などを多数動員して軍事演習を行っている。
』
『
朝鮮日報 記事入力 : 2011/08/11 15:03:54
http://www.chosunonline.com/news/20110811000054
中国空母試験航海:米中二者択一、韓国に迫られる可能性も
中国は米国のミサイル防衛(MD)体制に反対の声を高め
米国は在韓米軍の駐留経費の負担増を求める可能性
【金真明(キム・ジンミョン)記者】 東アジアで中国の軍事力が急速に拡大し、米国の力が弱まりつつある状況下において、韓国は困難な選択を迫られる可能性が高い。
国家安全保障戦略研究所のパク・ビョングァン研究員は
「中国が空母を保有するのは、自国の影響力が及ぶ範囲を拡大させるためであって、中国の空母が西海(黄海)に入る事態が発生したり、実際に配備されるようなことがあれば、韓国にとって直接・間接の脅威となる」
「韓国としては軍事力を拡大する中国と、国防費を減らす米国との間で、二者択一を強いられる可能性が高まっている」
と述べた。
とりわけ米国が推進するミサイル防衛体制や、韓米日3カ国の軍事協力について、中国は露骨に反対の声を強める可能性が高い。
国防研究院国防戦略研究室の朴昌権(パク・チャングォン)室長は、
「何よりも韓米同盟を基軸とする安全保障体制をしっかりと維持した上で、中国との協力関係を確立しながら信頼を築かなければならない」
「北朝鮮と対峙する状況で、中国の軍事力までも韓国にとって脅威とならないよう、周辺の環境をしっかりと管理することが重要だ」
と述べた。
東アジアにおける安全保障環境の変化は、韓国の財政にも大きな負担としてのしかかってくる。
まずは在韓米軍の防衛費を負担するよう米国が求めてくることが予想されるほか、中国の軍事力拡大と米国の力の空白に備えた国防予算の増額も避けては通れない。
また2015年末には戦時作戦統制権の移管も予定されている。
国防大学のパク・チャンヒ教授は
「現在、推進中の国防改革により軍の先進化を達成し、めまぐるしく変化する周辺の環境にしっかりと対応できるよう準備しなければならない」
と述べた。
』
『
朝鮮日報 記事入力 : 2011/08/12 11:33:58
http://www.chosunonline.com/news/20110812000039
中国空母試験航海:「韓国は潜水艦・ミサイルで対応を」
中国が10日に実施した空母の試験航行について、米国だけでなく、台湾、日本、ベトナムなど近隣国は、中国空母を狙った武器を公開したり、核武装論が浮上したりするなど、デリケートな反応を示している。
対照的に、西海(黄海)を挟んで中国と向かい合う韓国の政府・軍からは11日までいかなる立場表明や反応もない。
ただ、軍内部では中国の空母時代に対応し、韓国の戦略、作戦概念、戦力増強計画を再チェックすべきだとの指摘が出ている。
韓国軍当局は特に、中国の空母に艦載機が搭載され、駆逐艦を伴う空母艦隊が西海に配置された場合、韓国軍の西海への進入が困難になり、韓国領空での作戦も影響を受けると懸念している。
西海だけでなく、韓国の領空全域が中国の空母艦載機の作戦半径に入るからだ。
米空母の作戦半径は1000キロを超えるが、中国の空母の作戦半径は500-800キロとみられる。
主力艦載機になるとみられるスホイ33戦闘機の戦闘行動半径は最長800キロ前後だ。
軍関係者は空母が海域の狭い西海ではなく、離於島、南沙諸島など紛争発生の可能性がある場所に配置され、武力を誇示する可能性が高いと指摘する。
艦載機に対艦ミサイルを搭載し、遠距離から仮想敵国の艦艇を攻撃することができるからだ。
スホイ33は最高速度マッハ2.5-3.5で、射程距離 110-120キロのKh-31、Kh-41超音速空対艦ミサイルを発射できる。
専門家は、韓国軍も潜水艦や空母を攻撃する能力を備えた超音速対艦巡航ミサイルの戦力を強化すべきだと主張する。
韓国国防研究院の朴昌権(パク・チャングォン)責任研究委員は
「中国海軍の対潜水艦作戦能力はまだ弱いため、潜水艦が空母への対抗手段としては最も効果的だ」
と述べた。
西海は水深が平均40メートルに満たないため、中型、大型の潜水艦ではなく、300-500トンの小型潜水艦が適している。
匿名の韓国軍関係者は
「東海(日本海)など深い海と大洋では、攻撃型原子力潜水艦が威力を発揮するため、原子力潜水艦の保有も進めなければならない」
と指摘した。
音速より速い超音速対艦巡航ミサイルも空母への有力な対抗手段だ。
ロシア製で中国が保有しているサンバーン対艦巡航ミサイルは、最高速度がマッハ2.5以上で、迎撃が困難なため、米空母が最も懸念する兵器の一つだ。
韓国海軍は現在、米国製のハープーン対艦ミサイル、国産の海星対艦ミサイルを保有しているが、速度が音速以下のため、迎撃が比較的容易だ。
』
『
朝鮮日報 記事入力 : 2011/08/12 11:29:15
http://www.chosunonline.com/news/20110812000038
中国空母試験航海:米国が懸念表明、中国に説明求める
● 米海軍の空母カールビンソン。世界最大の空母保有国、米国は1982年に就役したカールビンソンをはじめニミッツ級10隻、エンタープライズ級1隻の空母計11隻を保有する。/写真=米海軍提供
米国務省のヌーランド報道官は11日の定例会見で、中国が初の空母の試験航行を行ったことについて、
「われわれはその装備(空母)の用途と意図を懸念している。
そうした装備がなぜ必要なのか答えてほしい」
と中国に圧力を加えた。
同報道官は「中国は米国のように軍備獲得が透明とは言えない」と指摘した。
中国は10日、遼寧省の大連港付近で同国初の空母の試験航行を開始し、その1人後に米国が正式な外交ルートを通じ、懸念を表明した。
海外領土を持たない中国が攻撃的長距離戦略兵器に属する空母を保有する理由は何かと疑問を投げ掛けた格好だ。
米国は南シナ海の南沙諸島(スプラトリー諸島)をめぐる中国と東南アジアの領土紛争で、中国と対立したことがある。そ
れだけに中国の空母保有で北東アジアの軍事的緊張が高まることを懸念している。
中国は11日に官営メディアの報道を通じ、空母が国際社会に脅威を与えないという点を強調した。
環球時報は
「空母は中国の新権力の象徴ではなく、中国のメンツを保つためのものでもない」
と指摘した。
しかし、専門家は中国の空母保有について、台湾、韓半島(朝鮮半島)などで地域紛争が起きた際、米国の介入を抑止するとともに、国家的なプラウドを高める狙いがあるとみている。
ソウルデジタル大のオ・ギュヨル教授は
「台湾との紛争や北朝鮮での突発事態で米国と軍事的に対立した場合、中国は米国の圧倒的な軍事力を限られた地域でもコントロールすることを狙う戦略を取ろうとしている。
そのために空母が必要だと判断したはずだ」
と分析した。
中国海軍の空母保有は、「大洋海軍」を目指す上での足掛かりとも言える。
中国人民解放軍は東シナ海、南シナ海一帯を自国の統制下に置くべきだとの考えを持っており、それを守る大洋海軍を建設するため、空母や潜水艦を建造しているとの見方だ。
空母には象徴性もある。
高麗大のキム・ソンハン教授
「中国が真に大国としての地位を追求しているとすれば、名実ともに二大国と呼ばれるためには、長距離の戦力投射能力を持たなければならない。
軍事大国になるために空母程度は持つべきだ考えたのではないか」
と分析した。
外交安保研究院の尹徳敏(ユン・ドクミン)教授は
「胡錦濤、習近平の両氏ら中国指導部は、毛沢東、鄧小平の両氏ら前世代の指導者に比べ軍に対する統制力が弱いため、軍の要求をけん制する力を欠く。
中国が日本と釣魚島(尖閣諸島)の領土紛争を起こしたり、韓米による西海(黄海)での合同演習に反対したりするのは、中国指導部が中国軍による要求や論理に対して弱い点を示している」
と語った。
』
『
朝鮮日報 記事入力 : 2011/08/12 11:36:14
http://www.chosunonline.com/news/20110812000040
【社説】中国の空母と北の砲撃に脅かされる韓国
北朝鮮の朝鮮人民軍は10日午後1時と夜7時46分の2回、西海(黄海)の延坪島周辺海域に計5発の海岸砲を打ち込み、うち2発は北方限界線(NLL)南側の韓国側に落下した。
北朝鮮がNLL周辺に砲撃を行うのは、昨年11月の延坪島砲撃事件以来のことだ。
一方、韓国政府はこの日、北朝鮮による2回の砲撃の間に当たる午後3時ごろ、乳幼児用の離乳食やインスタントラーメンなど、総額50億ウォン(約3億5600万円)相当の洪水被害者支援物資を送るという内容の通知文を、北朝鮮に送付した。
北朝鮮が海上で挑発行為を行っている間に、韓国政府は北朝鮮に支援を表明したわけだが、これは何か特別な意図があってのことなのか、あるいは砲撃の報告が関連部処(省庁)に伝わらず、砲撃の事実を知らない状態で通知を送ってしまったのか、国民としては非常に気になるところだ。
最近では、北朝鮮が国防部(省に相当)の金寛鎮(キム・グァンジン)長官を暗殺するため実行犯を韓国に送ったという情報が伝えられ、また他にも韓国の要人を狙ったテロを計画しているとの話も流れている。
さらに北朝鮮は、現代峨山が2002年から50年間にわたり、金剛山観光事業を独占できるように取り決めた契約を一方的に破棄し、先月には米国の韓国系実業家との間で、この事業を委任する覚書を取り交わした。
これは財産権を一方的に無視した差し押さえともいうべき暴挙だ。
また、それ以上に理解できないのは北朝鮮が挑発を行った時期だ。
現在、韓国政府は6カ国協議再開に向け、硬直状態にある南北関係を融和ムードに持って行くため、政策の転換を模索しているからだ。
このように北朝鮮が理解し難い突発行動を繰り返す一方、中国も空母の試験航海を10日から渤海湾で開始した。
中国は1998年にウクライナからソ連製の空母を購入してノウハウを積み上げ、その上で2020年までに作戦、訓練、後方支援をそれぞれ担当する3隻の空母部隊を立ち上げる計画で、さらに原子力潜水艦の建造もすでに開始しているという。
中国は今年1月には第5世代のステルス戦闘機「殲-20」の試験飛行にも成功した。
中国は国防予算を別の予算に組み替えているため、公表された軍事費だけでは中国の軍事力の正確な規模を把握することができない。
世界各国の複数の研究所は、中国の軍事費について「1988年までは毎年5%程度の伸びにとどまっていたが、89年以降20年以上連続して2桁の伸びを維持している」と推測している。
今年の中国の軍事費は900億ドル(約6兆9200億円)ほどだが、これが2020年には3300億ドル(25兆3600億円)規模にまで膨れあがるとの予測もある。
今年の米国の国防予算はおよそ7000億ドル(約54兆円)だが、米議会は今後10年間で国防予算を総額4000億ドル(約31 兆円)削減することとし、さらに今年末までに予算削減規模に対する与野党合意が引き出せない場合、この10年の国防費を6000億ドル(約46兆円)追加で削減することにした。
つまり最悪の場合、米国の国防予算は今後10年間で1兆ドル(約77兆円)削減され、10年後には国防予算が6000億ドルにまで減ることもあり得るということだ。
現在、米国と中国の軍事費はおよそ10倍の差があるが、10年後にはその差が2倍前後にまで縮まることになる。
米国の軍事力がこのように徐々に衰退し、中国の軍事力が急速に強大化した場合、東アジア、特に西海(黄海)や東シナ海周辺は、米国の覇権維持と中国の太平洋拠点確保という二つの戦略が正面から衝突する場となり、米中の軍事力が直接対峙(たいじ)する地域となる可能性が高まる。
それに伴って米国は、韓国など米軍が駐留する国に防衛費の負担増を、また日本の自衛隊にも空母や原子力潜水艦の建造と空軍力の増強を求め、これまで東アジアで米軍が担当してきた役割を、自衛隊が果たすよう要求することも考えられる。
いずれにしても、東アジアの軍事バランスに大きな変化が訪れるのは避けられないだろう。
11日に統一部(省に相当)主催で開催された南北統一関連のシンポジウムで、複数の国策研究機関は「2031年に統一が実現した場合、1年に必要な統一費用は55兆ウォン(約3兆9200億円)、それに伴う国防費の削減効果は500兆ウォン(約35兆7000億円)に上る」という予想を発表した。
南北統一が実現すれば、韓国が直面する軍事的な脅威が消え去り、それに伴って国防費の負担が減って、統一費用を十分に賄えるということのようだ。
しかし現実に目を転じると、西海には100年ぶりに空母を前面に出す中国の大洋海軍が進出し、また北朝鮮は9カ月ぶりに再び延坪島に砲撃を加え、韓国政府要人の暗殺をも狙っているようだ。
ところが韓国では、これらに対する危機感がないだけでなく、バラ色の未来ばかり口にしている。政府や与野党など政界はもちろん、財界をはじめとする社会の各分野、そして全ての国民が、今こそ厳しい現実に正面から目を向けるべきだ。
』
『
ウォールストリートジャーナル 2011年 8月 12日 14:09 JST
http://jp.wsj.com/World/China/node_288683
中国が海軍力誇示、空母を試験航行
【北京】中国初の空母が試験航行を開始した。
アジアで優位を保つ米軍に立ち向かい、世界中に広がる自国の経済的利益を守るために一流の海軍国となる上での決定的な瞬間だ。
国営新華社通信のマイクロブログ・サービスによると、空母は10日朝に大連港を出港、汽笛を三度鳴らして霧の中を進んでいった。
● 試験航行に出た中国初の空母
しかし全長300メートル余りのこの空母は、完全運用には程遠い状態だ。
ウクライナから購入した空の船体に、新たなエンジンやレーダー、大砲などを装備したものであるが、予備の空母も支援を行う船群もなく、戦闘能力には限界がある。
当面は人員訓練中心の使用となるだろう。
特に艦載機パイロットは、動く甲板上での離着艦訓練が必須である。
中国の空母は、人員約2000人と艦載機50機を収容可能だが、米国の「超大型」ニミッツ級原子力空母に比べると小型だ。
ニミッツ級空母は6250人を収容でき、より多くの燃料や兵器を備えた艦載機を飛ばすことができる。
中国空母は原子力推進型ではなく、ガスタービンか船舶用ディーゼルエンジンを擁しているとみられる。
中国はこの空母の重要性を低く見せようとしており、まだ名前も付けていない。
新華社の10日付の論説記事で「中国が空母を求めることは他国に脅威を与えるものではなく、過度な懸念や被害妄想を抱く必要はない」と主張している。
しかし、この一件は、空母は国力を表すと信じてきた中国国内の人々にも、米国にも、中国との領土紛争に巻き込まれている米同盟諸国にも強力なメッセージを送っている。
米海軍をアジア海域から遠ざけ、インド洋の海上交通路や中東の石油資源など世界中の経済的利益を確保するための力を持ちたい。
そうした中国積年の願望を象徴する出来事である。
そういう意味で今回の試験航行は、世界の大国という歴史的役割を取り戻すと決めた新興国、中国と、1945年以来のアジアでの軍事的優位を維持したい借金国、米国との関係における一つの節目と言える。
中国は、日本を拠点とする「ジョージ・ワシントン」を含め空母11隻を保有する米海軍と肩を並べるつもりはないとしている。
中国人の専門家も、フリゲート艦や駆逐艦、潜水艦、人工衛星などで構成される空母機動艦隊の複雑な動きを習得するには10年程度かかるとみている。
しかし、中国の現役軍人および退役軍人の話によると、同国は2020年頃までに国産大型空母を最大4隻、建造する野望を持っているようだ。
それに中国は昨年、東・南シナ海での領土紛争をめぐって米国とその同盟諸国に対し、より挑発的な態度を示してきた。
米国防総省も、中国空母の重要性を低く見せようとしている。
米当局者の中には、中国の技術力を疑問視する者もいる。
こうした傾向は、先月の高速鉄道事故を受けてより鮮明になった。
その一方で米国は、中国の軍事力強化に対抗するため、旧来の同盟国である日本と韓国はもちろん、インドやベトナムといった新たなパートナーとの防衛協力も強めている。
また、日本やオーストラリアなど複数のアジア諸国は、中国の軍事力強化と米国の防衛費削減により米国の安全保障の傘が崩れることを恐れ、兵器を拡充している。
しかし中国政府としては、空母の持つ短期的な影響力よりも、象徴的意味合いのほうが重要だ。
来年の政権交代を前に軍部の支持を取り付けたい共産党指導部にとっては特にそうである。
中国国営テレビは、国家主義的な視聴者に偉業を誇張して伝えるためか、試験航行の映像は一切流さず、代わりにロシアか米国の空母から飛び立つ艦載機とみられる映像を放映した。
新華社の論説記事は、
「1840年のアヘン戦争から1949年の中華人民共和国建国まで、中国は海上から470回以上の攻撃と侵略を受けた」
と論じた。
中国当局者らは、海軍力の拡大は経済的影響力の拡大に歩を合わせたものであり、アデン湾での海賊取り締まりパトロールに参加することで国際社会にも貢献していると主張する。
彼らはまた、国連安保理常任理事国の5カ国(中、米、英、仏、ロ)のうち、空母を実戦配備していないのは中国だけだと訴える。
インドとタイもそれぞれ空母を1隻保有しており、日本はヘリコプター搭載護衛艦を持っている。
人民解放軍の陳炳徳総参謀長は、7月に訪中したマレン米統合参謀本部議長との共同記者会見で、次のように述べた。
「中国は大国で、相当数の船舶を持っているが、どれも小さな船に過ぎない。
この状況は中国の国情にそぐわない」。
1928年に初めて提唱された中国の空母建造計画は、1980年に劉華清・海軍司令官(当時)が米空母「キティホーク」を見学したのを契機に一気に勢いづいた。
今年1月に亡くなった劉氏は自伝のなかで、
「(キティホークの)目を見張る壮大さと近代的な戦闘能力に深い感銘を受けた」
と記している。
中国は1985年、退役したオーストラリアの空母をスクラップとして購入した。
その後1998年と2000年にも中国企業がロシアの小型空母を1隻ずつ入手。
この2隻は現在、遊園地で使われている。
突破口となったのは1998年、ある中国企業が当時「ワリャーク」と呼ばれていた空母を2000万ドルで購入したときだ。
ギャンブルが盛んなマカオ特別行政区に曳航され、洋上カジノとして使われるとの合意がなされていた。
だが、この空母を海軍で使用する計画はすぐに公然の秘密となった。
改修の様子が大連の至る所で丸見えになっており、軍事愛好家らが写真やビデオを頻繁に公開したためだ。
それでも中国はその存在を公式に認めようとしなかった。
先月になってようやく明らかにしたときには、近隣諸国の懸念を和らげようと、「研究、実験、訓練」のために使用すると強調した。
中国国防省に10日、試験航行についてコメントを求めたが返答は得られなかった。
新華社は「長期には及ばない」としたうえで、
「空母は試験航行から戻った後も改修と試験作業を続ける」
と述べるにとどめた。
専門家は、今のところ中国人パイロットが空母から飛び立つ訓練をするとは考えられないが、陸上の模擬飛行甲板を使った練習は既に行われているようだと語る。
中国軍の動向に詳しい『漢和防務評論』誌の香港担当編集者、アンドレイ・チャン氏は、最初の試験航行の目的はエンジンの確認だろうと指摘、今後1~2年にわたり断続的に試験航行が続けられると予想する。
だが、基本的な試験さえ完了すれば、中国領海周辺でパトロールを行ったり、新たな海軍力を友好的な方法で見せつけようと諸外国を訪問したりする可能性もあると専門家は言う。
「米国の空母が香港に来るのなら、中国の空母がカリフォルニアやニューヨークを訪れてもいいのでは」
と、退役した元将官の徐光裕氏は語った。
しかし最も重要なことは、中国にとってこの空母が国産空母開発につながる経験となることだ。
その第1号の建造が既に上海で始まっており、早ければ2012年にも完成する可能性があると指摘する防衛専門家もいる。
中国軍の羅援少将によると、中国も他国と同様、少なくとも3隻の空母が必要だと考えている。
1隻が活動している間、別の1隻は移動中、残りの1隻は港で修理・補給中という態勢を確保するためだ。
ただし、空母1隻を運用するには機動艦隊が必要であり、それをそろえるには少なくとも10年を要し得ると、退役した海軍元少将、Yin Zhuo氏は述べる。
米国海軍大学戦略研究部のアンドリュー・エリクソン准教授は、研究記録のなかで、
「『中国初の空母』は軍事的有用性が非常に限られており、その主な働きは、台頭する大国に威信を与え、軍による基本手順の習得を助け、わずかな力を誇示することであろう」
と指摘している。
記者: Jeremy Page
』
_